「SESあるある」を元SESエンジニアが解説
客先に常駐して、システムエンジニアとして業務を行うSES。
幸いなことに、昨今ではリモートワークの普及に従って、現場で消耗する機会は減りつつあります。
しかし、セキュリティ面などの都合や、ハードウェアのキッティングが必要な場合など、まだまだ常駐しているエンジニアがいるのも事実です。
SNSや、転職会議などの「企業口コミサイト」では、「SES(客先常駐)は、やめとけ!」という意見を、多く見かけます。
この記事を執筆している筆者は、SE歴10年です。
SES・客先常駐も5年経験しており、様々な現場を経験しました。
結論から言って、確かに「SESは消耗する面も多い」というのが筆者の実感です。
この記事では、SESを5年経験した筆者が実体験した「SESあるある」をご紹介。
そして、SESあるあるを避けるための戦略をお伝えしてきます。
当メディアは、株式会社ウィザードが運営しています。
ウィザードは1998年に設立したソフトウェア開発業務を遂行する企業で、これまで受託開発をメインに20年以上の実績があります。
転職で希望の職種へ
SESで消耗しているなら、ホワイトなSES企業に転職するのが手っ取り早い解決策です。
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引用:株式会社リクルート-リクナビNEXT
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上記事は、9社を徹底比較。
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SESあるある。
ひたすらドナドナ
SESでは、現場に出向く前に適正をチェックするために、面談に出かけます。
その際に、ひたすらドナドナされたことがあります。
A社の営業マンに引き連れられ、とある駅で待ち合わせ。
→B社の営業マンに身柄を渡される。
現場となる企業のエントランスに到着。
→C社の営業マンに身柄を渡される。
みたいな感じで、たらい回しにされるのです。
人身売買されているようで、あまり気持ちの良いものではありませんね。
下請け構造の下層案件ですとよくある話です。問題なのは、A社やB社に中間マージンを支払うことになる点です。
このような案件ばかり、というSES企業は避けたいですね。
あまり利益率が高くなく、良い企業とは言えないでしょう。
客先の名刺
SES時代で強烈に印象に残っている出来事があります。
常駐先の名刺を渡されて「常駐先の社員のふりをしろ。」と言われる現場です。
目的としては、常駐先社員とチームで顧客に対応しているので、名刺を持った方が何かと便利だからです。
一例として、客先常駐で働いていると要件定義に参加する事があります。
初顔合わせの際に名刺交換が行われますが、その時、自社の名刺は使えません。
常駐先から支給された名刺を渡すことになります。
クライアントからの信頼性を持たせるためと、余計な心配をかけないための配慮ですね。
私は一体、どこの誰なのか。
客先の名刺を渡されると、「私は一体、どこの誰なのか。」という疑問が湧いてきます。
普段は客先に常駐して業務を行うので、用事が無ければ自社に立ち寄ることもありません。
クライアント先と自宅の往復だけになるので、自社に対して、帰属意識を持てないんですね。
ただただ、SES派遣されてコマとして利用されているだけです。
謎の行事「帰社日」
客先常駐しているエンジニアに、少しでも帰属意識を持ってもらうための行事が「帰社日」です。
月に1回、自社に帰って社員同士、現場の状況などを報告する行事です。
月末か月初に半日、というケースが多いですね。
非常に苦し紛れではありますが、帰属意識を持ってもらうための工夫です。
これがある会社は多少マシかもしれません。
帰社日すらないと、本当に現場に行きっぱなしで、帰属意識は1ミリも持てないでしょう。
一方で、帰社日があれば、普段会わない自社の上司と顔を合わせることになりますので、多少は帰属意識を持つことができます。
ただし、現場で常駐先企業の名刺を持たされているという事実は変わりませんし、ないよりはマシ、といった程度です。
強制的な残業
SESでは「強制的な残業」に気をつけましょう。
私の実体験ベースで、お話いたします。とある現場での出来事。
官公庁系の案件を対応している現場で、既存システムのマイグレーション作業(システム移行)を担当しました。
マイグレーション前のシステムが、他社が作成したもので、非常に作りが悪い状態でした。
そのため、私が入った時点で作業が山のようにある、いわゆる「デスマーチ」が絶賛進行中。
その現場に入った初日に「20:00までは必ず作業してくれ。」というお達しがありました。つまり、強制的な残業ですね。
「長時間労働すれば成果が出る。」という短絡的すぎる考え方ですね。
偽装請負をしている
また、現場の上長からそのような指示が出ていたので、今思えばいわゆる「偽装請負」状態でして、違法性のある行為です。
※請負契約(客先常駐の際の契約形態)では、派遣と違って客先(発注側)の企業が労働者へ指示を出すのは禁止されています。
それが破られている状態を「偽装請負」と呼びます。
残念ながら、SES業界においては割とよくある話です。
このような事態は、主に発注者(常駐先)と自社の力関係の差が大きいことで生まれます。
自社の営業スキルが低かったり、質の低い案件しかとってこれないことも理由の一つです。
ひたすら質の低い作業
テストエンジニアはやめとけ?SE歴10年の野良エンジニアが解説。
新人の頃ですが、ひたすらテスト業務をやらされる現場に行かされていました。
もちろん、開発のできる現場に行くためのスキルがない自身の問題でもあります。
ですが、質の低い案件しか持ってこれない、自社の営業力にも問題があります。
通勤が2時間以上
片道2時間以上かかる現場に、常駐したことがありました。県西部の自宅から、県東部の勤務先まで毎日縦断旅行です。
通勤時間ほど、無駄な時間はありません。
会社にとっても、高額な交通費を払う必要がありますので、考えものです。
SESあるあるの問題点
多重下請け構造
SESの多重下請けはなぜ蔓延する?防ぐ方法やメリット・デメリットを解説。
SES企業では、案件が「多重下請け構造」のケースが見受けられます。
これはSES、というよりもIT業界全体の、業界構造の問題点です。
SESで勤務しているなら、自社の営業部隊がどんな動きをしているか、よくご存知だと思います。
- 大量の下請け案件を持ち回る
- 横のつながりで紹介しあう
- タイミングよく流れてきた案件にエンジニアをアサインする
という構造です。
自社に案件が回ってきた段階で、4次請け、5次請け、なんて案件がゴロゴロしています。
顔も名前も知らないブローカー(仲介者)に、自分の単価から中間マージンが毎月抜かれています。
残念ながら、SES業界ではよくある話です。
というか、中小SES企業の多くは、このような「多重下請け構造」の中で、案件を回しあっています。
エンジニアへの還元率が低い
SES企業では多重下請けの結果、エンジニアの単価が安くなってしまいます。
そもそもの発注金額が安いため、そこから会社とエンジニアの取り分を決めなくてはなりません。
SESの単価を教えてくれない場合の対処法→今すぐ抜け出しましょう。
還元率を知るためには、自分の単価を教えてくれるかどうかが、一つの判断基準です。
スキルのミスマッチ
現場に行ったのに、求められるスキルと、自身のスキルがミスマッチすることがあります。
売り上げ優先のSES企業ですと、何よりも現場に行って、単価分を稼いでくることを求められます。
自社待機なんてもってのほかで、タイミングよく回ってきた案件に、強引にねじ込むことがあります。
- スキルシートの記載内容を盛る
- 短期間しか経験していないプログラミング言語を「対応できます!」と答えさせる
など、あの手この手でなんとかエンジニアを現場に送りたがります。
SESは案件を選べない?ミスマッチを防ぐには積極的に選ぼう。
そのように無理矢理現場に送り込むことになると、スキルのミスマッチが起こってしまいます。
筆者も実体験として、自身が持っているスキルと、現場で求められるスキルがマッチしていないことがありました。
現場の上司からの技術的な要求に応えられず、「使えないヤツ」だと思われてしまいます。
これはさすがに、自社の営業に掛け合って、そうそうに現場を変えてもらいました。
そのような企業では、当然ながら社員のスキルアップや、将来性など考えていないケースも多いでしょう。
できるだけ単価が高くて、スキルがマッチした案件がタイミングよく回ってきたら、それにアサインするだけです。
SESあるあるを避ける方法
この記事をお読みになっているエンジニアには、私が経験したようなSESあるあるで、苦しんでほしくないです。
ホワイトなSES企業の例をご紹介します。SES企業に就職する場合には、必ず事前にチェックしたい項目となっていますので、ぜひご確認ください。
1次請けで現場の仕事を直接もらっている
SESのプライム案件(1次請案件)とは。獲得企業の見分け方をシェア。
SESでも、高単価な1次請けで仕事をもらえていて、こなしている会社はホワイトです。
妙なブローカー(仲介者)がなく、直接契約で現場の仕事をもらっているケースですね。
仲介がない分、エンジニアの単価が高くなりますし、営業同士の人的コミュニケーションコストも減ります。
もしSES業態で仕事をしたいと考えているなら、直接仕事をもらっているかどうか必ず確認した方が良いですね。
数人のチーム体制で現場に入っている
数人のチーム体制で現場に入っている場合、自社の上長が業務の舵取りをしています。
そのため、常駐先の企業から理不尽な要求がくることもありません。
また、自社のチーム単位で仕事を回せるので、お互いに休暇を取ったりしてフォローし合うことができます。
SES(客先常駐)は1人ぼっちで未経験だと辛い?対処法を解説。
エンジニアのキャリアパスを描ける
ホワイトな優良SES企業って存在するの?見分け方を徹底解説。[現役エンジニアが語る]
ホワイトなSES企業では、エンジニアが自身のキャリアパスを描くことができます。
具体的には、以下のような特徴があります。
- エンジニアが、案件を選べる
- 合わない現場は退出させてくれる
- 営業が要求を聞いてくれる
このような対応をしてくれる企業にいれば、会社の言いなりでマッチしない現場に行かされることもなく、キャリア形成を有利に進めることができます。
還元率が高い
高還元SESとは?新しいSESの働き方と求人動向について。[現役エンジニアが解説]
多重下請けのSES企業では還元率が低いですが、一方で高い還元率を誇るSES企業も存在します。
入社前に確認するようにしましょう。
IT転職のおすすめ転職サイト
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